あるところに三人の兄弟が住んでいました。
彼らの住んでいるところには、とても恐ろしい竜がすんでいました。
この恐ろしい竜は、三兄弟が大嫌いでした。
いつも三兄弟を食べようとするのです。
ある日、一番上の兄が竜に襲われました。
「まずはお前から喰ってやる!」
兄は逃げるどころか、驚いた顔一つ致しません。
素早く何かをつかむと竜に投げつけました。
竜は金縛りにあったかのようにその場から動けなくなりました。
「宝貝・遁竜椿。捕獲して、締め付ける宝貝だよ。」
竜の首にはわっかがついていました。
わっかは他にも、胴体、足、尾のところなど、体の数カ所を締め付けています。
「締め付けられるのがいやだったらおとなしく帰って下さい。」
竜はすごすごと退散しました。
「木吒と哪吒は大丈夫かな?」
次の日。今度は真ん中の兄が竜に襲われました。
「今度こそ・・・お前を喰ってやる!!」
しかし次男坊は好戦的な目つきで竜を見ると、
背中に背負っていた曲刀二本を勢いよく投げつけました。
どすん、と大きな音を立てて、竜のひげが地面に落ちました。
「これは宝貝・呉鉤剣。切れ味は抜群だぜ。」
竜は驚いて声も出ません。
「うちの師匠は平和主義でね。命は取らないでやるから、さっさと失せな。」
竜は恐くなって逃げました。
「哪吒の奴、大丈夫かな?」
次の日、竜は一番下の弟をねらおうとやってきました。
「今度こそ・・・次こそは・・・!本当にお前を・・・」
「・・・殺す。」
三男坊に乾坤圏で頭をぶち抜かれ、竜は絶命しました。
こうして三兄弟は平和に暮らしましたとさ。
初めからこんな話だったんじゃないかと思うくらいしっくりきた。