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File#5 漫画での時系列について考える

時間的スケールのでかい封神演義の話。
実際の封神計画スタート時から終了時までの年数は10数年(それでもスケールはでかいが)ということですが、背後に控える年数は始祖たちが降 臨してからとなると何百万年も前の話に。
そこまで細かくは追わないけど、二次創作時に「あれ?この出来事いつのこと?」と私がしょっちゅう考えるので、フジリュー封神の時系列を考え てみました。


1 本篇から物語開始前の時系列を推測

まずは本編マンガから読み取れる時系列を確認。
注意すべきなのはある時点で誰かが50年前とか60年前とか言っていても、姫昌さんが幽閉されてから解放されるまでに7年経過しており、それ 以前の発言とそれ以後の発言で約10年単位で時期がずれてくる可能性があるということ。特に本編開始後の時間経過が 大幅に狂ってくる可能性のある罠なので要注意。(ただし幽閉前の1巻と幽閉後の6巻で同じ出来事のことを「約60年前」と言っているので、こ のあたりも実はちょっといい加減だったりする。)

とりあえず本編の開始時(太公望が封神計画を命じられた時)を基準として、塊ごとに分けて検証してみます。


始祖降臨(何百万年も前)~妲己が金鰲から独立する(約1500年前)まで
年数 出来事
何百万年も前 始祖降臨
5000年前 申公豹誕生
2000年前 燃燈・元始天尊が王奕と接触する、封神計画が立案される
1700年前 妲己誕生
1500年前 元始天尊VS趙公明
妲己、金鰲島を離れて放浪を始める
(1000年以上前) 王貴人誕生

まず始祖降臨の時期。22巻にて女媧が「何百万年も造っては壊した」との発言があることから、スケール大きすぎてわかんねーよ的なレベルくら い前に始祖が地球に降臨していることが判明。ぞこからずっと女媧打倒できる戦力整うまで待ってた伏羲すげぇ。
その後、信憑性は怪しいですが、1巻で申公豹が「生まれて5000年、自分の血を見たことがない」と発言しているので、一応約5000年前に 生まれたことにします。

ここからが本編にかかわってくるところ。まずは22巻にて約2000年前、燃燈が老子のところに不思議な子供がいると元始天尊に言って王奕に 会いに行く場面があります。この時に歴史の道標の存在が二人に開示され、封神計画が立案されます。(ここで通天教主がいないってところは大い に深読みできる要素の一つだと思う)

さらに続けて19巻、背景に小さくではありますが、妲己ちゃんの年表に約1700年前に発生と思しき記述あり。そしてさらに12巻にて1500年前に趙公明が単独で崑崙山に侵入し、元始天尊にコテンパンにされる事件が書かれています。なお、この時妲己ちゃんは金鰲島で趙公明 に並ぶ実力の持ち主として描かれているので、200年でめっちゃ修行して金鰲島の2強の一人になったんだと思われます。なお、妲己ちゃんの19巻の年表には1500年前に金鰲島を離れて放浪する旨も書かれているため、趙公明の事件の後間もなく独立して金鰲島を離れたと考えられま す。
ちなみにおまけ程度で、1巻で申公豹が王貴人の歳がゆうに1000歳を超えているとの発言があるため、貴人はこの時期周辺で誕生しているかと 思われます。


夏王朝成立(約1000年前)~滅亡(約600年前)まで
年数 出来事
1000年前 夏王朝成立
900年前 妲己、夏王朝に取りいってゴージャスな生活を始める
600年前 妹喜(妲己)、女媧と邂逅する
夏王朝滅亡、殷王朝成立

19巻にて夏王朝が約1000年前に成立したとの記載が妲己ちゃん年表にあります。同じくその妲己ちゃん年表には約900年前に夏王朝に取り いってゴージャスな生活を始めたとありますから、夏王朝初期から中期くらいに王朝にもぐりこんでいることがわかります。ということは独立して から600年ほどは人間界でいろいろ修行してたんだろうなぁ。登場時から激強のラスボスだったので初めからそんな風に見えるけど、バックボー ンの修業年数のケタが違いすぎる。

そして約600年前、夏王朝末期に偶然妲己は女媧を目撃し、歴史の道標と共同戦線を組むことに。

殷王朝成立(約600年前)~楊戩と王奕の人質交換まで(約200年前)
年数 出来事
550年前 元始天尊VS燃燈、燃燈道人が崑崙山を去って行方不明になる
500年前 妲己、始祖の存在を知って衝撃を受ける
300年前 聞仲、金鰲島の通天教主にスカウトされて道士になる
290年前 羌族の襲撃を受けて殷の王都が壊滅的被害を受ける
聞仲、下山して朱妃に殷の太子を任される
以後、聞仲は殷王家の教育係として王家に関わる
200年前 通天教主、元始天尊に不可侵条約の締結を求める
崑崙山と金鰲島の間で人質交換が行われ、楊戩が崑崙山に、王奕が金鰲島にわたる

ここから封神計画の具体的な動きが始まります。
まずは21巻にて、約550年前に元始天尊と燃燈道人が十二仙会議の日にドンパチやらかして3日3晩の戦闘の挙句に燃燈道人が行方不明になる という事件が発生。以降本編終盤まで燃燈さんは表舞台から消えてしまいます。(本編の流れとは関係ないですが、十二仙会議は50年ごとに開か れていることがここで開示されています。)

その一方で、23巻では妲己ちゃんが女媧と手を組んでから約100年後、つまり約500年前に始祖の存在を知り、衝撃を受けています。

さて、ここから聞仲登場。6巻の聞仲の回想をみると、約300年前、当時の聞仲は16歳、片思い相手の朱氏は20歳と記載があります。
朱氏が王妃になり、その後聞仲が通天教主にスカウトされたのがいつのことかは不明ですが、金鰲島へ修業に行く挨拶をした際の朱氏の子の見た目 年齢から考えると、聞仲は17~20歳直前くらいで仙界入りしたものと思われます。そしてその約10年後、亳は羌族の襲撃を受けて壊滅的被害 を受け、朱妃と王が死亡。聞仲は人間界に降りて朱妃の子を守り、以後殷に忠誠を誓うことになります。

さて、ここで一つの疑問。聞仲が殷に仕えたのは物語開始から約300年前からですが、4巻では聞仲が紂王の先々代から太師として殷に仕えてき た、というセリフがあります。あれ?先々代から仕えて300年って1世代100年?と一瞬考えてしまいますが、ここでもう一度6巻参照。朱氏 の子を盛りたてて王にしたのち、彼はまず「殷王家の教育係」になっています。ここで考えられるのは、この「教育係」≠「太師」ということ。お そらく「太師」という役職は王を諫言し、内政にも手を出し、更に軍を率いて乱をおさめに行く(停戦交渉含む)ことができる、文官武官含んだ全 臣下の総合トップの役職なのではないでしょうか。(あくまでフジリュー封神のみの話。歴史用語の太師とは別物と考えてください)
そうすると300年のつじつまは、朱氏の子の代で殷王家教育係→約60年前の28代皇帝・太丁の頃に「太師」になる、という筋書きで合わせる ことができます。

さてここでもう一つ見逃せない動き。15巻に、約200年前に通天教主と元始天尊との間で不可侵条約のための人質交換が行われたことが明示さ れています。この時の楊戩の年齢の取り扱いが微妙なところで、楊戩は「幼体の頃崑崙山に預けられた」と言ってるし(回想では乳飲み子に見え る)、その割に人質交換の場面では4~5歳児くらいの年齢に見えるし、正直どうなのよという感じですが、ここは広く「人間への変化がまだうま くできない妖孼だった」という無茶解釈で通してしまえばいいんじゃないでしょうか。


呂望誕生(72年前)~60年前の悲劇まで
年数 出来事
72年前 呂望誕生
60+数年前 羌族の統領の二男・呂望が死亡、元始天尊が王奕の魂魄を宿らせる
60年前 第28代皇帝・太丁の妻・王氏(妲己)の命で羌族狩りが行われ、太公望の村が襲われる
太公望、元始天尊にスカウトされる
聞仲、王宮で悪さをしていた王氏(妲己)ら三姉妹を四聖と共に追い出す


さて、ここからややこしいんだぞい。
太公望こと呂望が誕生したのは物語開始から72年前のこと。その後数年後にオリジナルの呂望は死亡し、元始天尊によって分断された王奕の魂魄 を宿されます。
物語開始から60年前、呂望の村は皇后・王氏(妲己)の命を受けた殷軍に襲われ、呂望は(実際は違ったが)天涯孤独の身に。間もなく元始天尊 にスカウトされます。

この60年前の時期、実は意外と重要。60年前の悲劇は当時の皇帝の死後の付き人を求めた王氏のワガママで引き起こされているわけ(1巻)で すが、この皇帝の名前は記載されていません。ただ、6巻にて王氏は皇帝・太丁の妻と妲己ちゃんのセリフにある(ただし第20代皇帝とありま す…が、ここは申し訳ないがフジリューのミスだと思われます。60年の間に10回も皇帝が変わることは考えにくく、なおかつ太丁という名前の 皇帝が紂王の祖父に当たる人物の名前であるため。そもそも文献によっては紂王が殷の何代目に当たる王なのかかなりブレがあるので、その点からも引き起こされたミスかもしれない)ので、当時の王は太丁。ん?じゃあ死んだのは太丁か?となると少し違う気がします。
5巻にて聞仲が王氏のことを「殷王太丁を裏から操る女狐」と現在進行形で呼んでいるので、呂望の村が襲われた原因になったのは太丁の先代の王 の付き人のためではないでしょうか。そうなると、太丁の先代が死亡→太丁が王位を継ぐ、太丁の妻の王氏がワガママ→呂望の村襲われる→聞仲が 四聖を引き連れて登場、王氏退場、という流れが。先に言った「先々代の頃から太師」の話も、この功があって教育係から太師になったんだったら 話がきれいに通るなぁと思ったり。
じゃあ王氏が悪さするまで聞仲はどこにいたんだよ、という話ですが、13巻に王天君のセリフで聞仲が人間界に降りてから20年程度で通天教主 が廃人になったことが示唆されているため、一時的に金鰲島にいたんじゃないだろうかというのが私の予想です。王天君はいつのタイミングで聞仲 が人間界に降りてから20年後、とは言っていはいませんが、太師という重要なポストに就いた聞仲がホイホイと金鰲島に帰ることは考えにくいた め、最後に通天教主に会ったのはこの60年前のタイミング以外なさそうな気がします。

※なお聞仲戦は物語開始から7年以上経っており(この間に姫昌さんの幽閉と解放がある為)、その上での60年前に呂望が故郷を失ったことが太 公望の回想で描かれている(6巻)ことから、あれなんかずれるぞ…という疑惑が6巻にて発生。まぁ10年くらい大目に見るべきなのか…


太公望修業時代~物語開始時まで
年数 出来事
40~50年前 楊戩が金鰲島に潜入して通天教主に会う
40年前 通天教主が妲己・王天君の策略により完全に廃人となる
30年前 太公望、修行の結果仙人級の力を身につける
20~30年前 元始天尊に睡眠薬を盛って普賢と共に黄巾力士を盗んで人間界へ行く
28年以上前 蝉玉誕生
10~20年前 太公望、白鶴と共に人間界へ行き姫昌を目撃する
10~20年前 黄飛虎、旅の途中で霊獣の子供を保護して聞仲をしかりつける
10数年前 殷氏、3年6カ月もの妊娠期間を経て哪吒を産む
13年以上前 蝉玉、金鰲島の仙人にスカウトされる
11年以上前 殷郊誕生
数年前 妲己、冀州侯の娘蘇妲己の体を乗っ取る
妲己が後宮入りする
数年前 天化が清虚道徳真君にスカウトされる
3年前 哪吒、水棲霊獣王の怒りを解くため自殺する
1~2年前 李靖、哪吒の墓を壊す

このあたりもよく考えたら順番が入れ替わるかもわかりませんが、とりあえず列記。
まずは仙界大戦から約50年前(つまり物語開始時から4~50年ほど前)に、楊戩が一度通天教主に会いに行っています。通天教主はここでは楊 戩とまともに話ができていますが、13巻にて王天君が、聞仲が人間界に降りてから約20年の間に廃人のようになってしまったと言っていること から、もし先に書いた聞仲と通天教主の最後の面会が60年前で合っているのなら、割と奇跡的なタイミングで親子対面ができていることが判明し ます。

太公望は仙界入りしてから30年たらずで仙人級の力を身につけますが、その後はさぼってばかり。本編では30~20年前に普賢と共に睡眠薬を 元始天尊に持って黄巾力士を奪って人間界に行ったり(16巻)、10~20年前に白鶴を仙桃で釣って人間界に行って若かりし姫昌を目撃したり (6巻、なおこの時は伯邑考は生まれているが周公旦は生まれていない)しています。

なお、この太公望の修行おさぼり時代には他にも色々な事が起こっています。
まず蝉玉。姫昌さんが亡くなった後(本編開始7年以上前)の鄧九公・竜鬚虎戦で、15歳で金鰲島の仙人にスカウトされ、20年の修行で宝貝を 手に入れたと9巻に記載があるので、本編開始の28年以上前に生まれ、13年以上前にスカウトされたと仮定できます。蝉玉の宝貝はリミッター 付きだったので、初登場時は宝貝手に入れてからそんなに時間は経っていないんじゃないだろうかと邪推。(リミッター外せるほど修行してない、 というかリミッターついてるの知らなかったし、宝貝もらって満足してパパのところに戻ったんじゃなかろうか。パパも35歳以上の娘持ってる割 に白髪もなくお元気だし。)
次に黄飛虎。飛虎が修行の旅から戻る途中、霊獣の子供を保護して聞仲をしかりつけているのは約10~20年前(17巻)です。この後自力で武 成王にまでのし上がってきて、聞仲の無二の友になっていくんですねぇ。
片や陳塘関では同時期に3年6カ月もの妊娠期間を経て殷氏が哪吒を産んでいます(2巻)。
あ、あと殷郊が生まれたのもこの時期と予測(10巻にて18歳)。(ってことは哪吒って殷郊と同じ年齢くらいなのか、意外だ)

そして物語開始直前の数年前の時期に入るとさらにいろいろ。まず妲己ちゃんが冀州侯蘇護の娘・蘇妲己の体を乗っ取り後宮入り(6巻)。ほぼ同 時期に天化が道徳にスカウトされています(20巻)が、このあたり、天化のスカウトが先か、妲己ちゃん後宮入りして悪さし始めるのが先かでだ いぶ印象違ってきますよね。

さらにもう一つ。物語開始のおそらく約3年前に哪吒が水棲霊獣王を怒らせてしまい、自殺してしまう事件も起きています(2巻)。その数年後に 李靖に墓を壊されていますが、ぶっちゃけ物語開始から1~2年前のことかと思われます。


2 物語開始から物語終了までの時系列を推測
物語開始時~姫昌解放まで(約7年)
年数 出来事
数ヶ月前~
物語開始直前
楊戩、元始天尊に太公望を手伝うよう打診される
0年前 太公望が封神計画の責任者に任命される

太公望、朝歌で妲己を探るも敗北し、黄飛虎に救出される
数ヶ月後 太公望、哪吒・楊戩を人間界で仲間に引き入れる

東伯侯・南伯侯が暗殺され、西伯侯姫昌が幽閉される

太公望、雷震子を仲間に引き入れる

王太子兄弟が朝歌脱出、崑崙山で保護される

太公望、封神計画の真意の一端を知る
太公望、仙人界で土行孫と碧雲に会う
約7年後 伯邑考、父を救出しに朝歌に出かけ、暗殺される
姫昌、解放されて西岐に戻る

物語が開始してからの具体的「年数」が出てくるのは、姫昌さんが幽閉されてから解放されるまでの7年という単位(2巻)と、太公望が封神計画 を終了させるのは開始から約10数年後(1巻)だけ。後は細かいところで3日後とか数カ月後と出てきます。
まずは姫昌さんが幽閉される(2巻)までの時間の流れですが、ここで注目すべきは楊戩。「太公望が行う予定の計画を手伝ってほしい」と2巻で 元始天尊が楊戩に指令を出しており、それが太公望と楊戩が出会う数ヶ月前のことから、指令は物語開始より少し前のことで、物語開始から楊戩と 出会うまではおおよそ数カ月単位しかたっていないと予測可能かと。

4巻冒頭で伯邑考が登場して姫昌が解放されるまでに、太公望が仲間にしたのは哪吒・楊戩・雷震子・王太子兄弟・土行孫。実はこの7年間はあま り太公望自身、いろいろやったわけではないようで、ある意味修行と情報収集期間だったのではないかと考えられます。


姫昌解放から病死するまで(約1年)
年数 出来事

聞仲、北海の叛乱を鎮圧して帰還する

太公望、武吉を助けて姫昌と出会う

黄飛虎、妻と妹を殺され、一族を連れて殷を出奔する(正月)
VS四聖・聞仲

VS崇黒虎
約7~8年後 姫昌没(仲秋/旧暦8月)

さてようやく太公望が真剣に動き始める時期へ突入。
姫昌が幽閉から解放されてから死亡するまでの期間はそう長くはなかったと思われます。実質1年もなかったのではないでしょうか。拒食症は解放 直後からあっただろうし。
このころの動きはまず武吉の仲間入りと「釣れますか」。そして武成王の造反と、それに続く四聖・聞仲戦。最後に崇黒虎戦があります。なお、こ こで重要なヒントになるのが姫昌さんが亡くなった時期。紂王20年仲秋とあります(6巻)が、まず亡くなった仲秋という月について。これは旧 暦8月のことなので、もし武成王造反と同じ年の出来事だとすれば、武成王造反から姫昌さんが亡くなるまで約8カ月と絞ることができます。更 に、武成王造反時の紂王の年齢が30後半(4巻・申公豹のセリフより)、牧野の戦い時の紂王の年齢が40過ぎ(19巻・兵士のセリフより)と いう記述があるので、最低でもこの年から2年後(武成王造反時39歳/牧野の戦い時41歳と仮定した場合)、長くて8年程度(武成王造反時36歳/牧野の戦い44歳前後と仮定)に殷王朝が滅んだと考えることもできます。

※武成王一族が朝歌から西岐入りするまでの期間について…通常軍を率いて西岐から澠池城周辺へ進軍するのに約半年はかかると太公望が17巻で 言っているのですが、これはあくまで軍を率いた場合の日数。武成王一族は子供連れではありますが武人の一族で、少なくとも四聖戦までは障害な く進めたわけなので、数カ月程度で西岐についたのではないかと推測しています。


決起集会から仙界大戦開始まで(約4カ月)
年数 出来事

VS魔家四将

VS蝉玉

決起集会
周軍が東に進軍を開始
聞仲、十天君に幽閉される
VS鄧九公・竜鬚虎

魔家四将戦で戦線離脱した哪吒・雷震子・天化が戦線復帰
VS呂岳

VS殷郊

VS趙公明

聞仲が解放される
仙界大戦が開戦

決起集会直前に魔家四将戦と蝉玉戦(戦…というべきかは不明だが)、決起集会後に本格的に周軍の進軍開始と聞仲封印、鄧九公・竜鬚虎戦があり ます。ここで注目すべきは聞仲の幽閉期間。幽閉されてから4カ月後に、趙公明が封神されたことによって解放され、即座に仙界大戦の準備を始め るので、この時期は少なくとも4カ月は流れていると判断できます。因みに18巻にて仙界大戦前に引き上げた周軍を再び澠池城まで進軍させるの に楊戩なら半年程度だろうと太公望が予測していることからもほぼ確定でいいかと思います。
問題は、8巻の決起集会時の薪売りが13巻の仙界大戦勃発時に妙に老けてて二人目の子供が生まれたという話をしているんですが、何でそんなに 老けこんじゃったのかちょっと謎だわ…
他にも、鄧九公・竜鬚虎戦と呂岳戦を経て、殷郊戦直前に武王が周軍に合流したのは決起集会から2~3カ月後(9巻…決して連載に登場したのが2~3カ月ぶりという意味ではないと信じたい…)ともあるので、細かい時間の経過としては

魔家四将戦→蝉玉戦→決起集会→周軍進軍開始・聞仲幽閉→周軍が要塞到着/鄧九公・竜鬚虎戦→天化ら戦線復帰→呂岳戦→武王合流(ここまでで 周軍進軍開始から2~3カ月経過)→殷郊戦→趙公明戦→聞仲解放/仙界大戦へ(ここまでで聞仲幽閉から4カ月経過)

という感じでいいのではないでしょうか。
こうやってみると、天化たちが戦線離脱していたのは2~3カ月以上だと考えられますね、結構重症だなぁ。


仙界大戦~澠池城決戦まで(約1年)
年数 出来事

仙界大戦終結

太公望、太上老君を探す旅に出る
周軍、再び東へ軍をすすめる

太公望、桃源郷を見つける

太公望、太上老君に出会い夢の中で修業を開始

VS張奎・高蘭英

さて、仙界大戦ですが、果たしてどれくらいの時間行われていたのか。終了後に周公旦が「何十日もお空の上で不毛な戦い」と言ってるので、1~3カ月程度ではないだろうかと推測。
そして仙界大戦終了して、太公望が老子を探す旅に出てから澠池城決戦まで9カ月。この期間だけで最長1年経ってます。武王があんなに立派に なった+老けたこと考えるとやっぱり決起集会から数年経ってるような気がする…
なお、太公望と老子と出会ってから3カ月で楊戩は澠池城に到着しており、その後ずっと澠池城前で待ちぼうけしてたとは考えにくいので、この時 期の流れは…

仙界大戦→(1~3カ月後)→仙界大戦終了→太公望旅に出る/周軍進軍開始→太公望、桃源郷入り→(太公望が旅に出てから6カ月経過)→太公 望、老子に会う→(更に3カ月経過)→周軍、澠池城前へ→太公望帰還

楊戩が順調に進軍できれば半年で澠池城につくだろう、と太公望は予想しています(18巻)が、予想よりも3カ月遅れた原因は二次創作者の妄想 任せですかね!?(最初の進軍時は抵抗なかったのに2度目の進軍時で思いのほか抵抗されたとか。でも澠池城戦で楊戩が「僕の初指揮…」と言っ てるので、進軍は南宮适ら人間に任せた結果、ちょっと遅くなったのかもしれない。)


牧野の戦い~物語の終わりまで(半年?)

澠池城決戦から牧野・殷王朝滅亡まではそう時間は経っていないと思われます。一応確認できるのは牧野の戦い時に紂王が40過ぎであることが兵士から示唆されることと、殷王 朝が滅亡したのが紀元前11世紀後半の春だ、ということくらいでしょうか。紂王の年齢の幅が4巻武成王造反時の30代後半と、19巻の40過 ぎで幅広い上、紂王の在位期間が不明なので、姫昌さんの没年から結局何年後に殷が滅亡したのか、は漫画の中ではいまいちよくわかりません。 (このあたりは後述する補足事項で+αします)

蓬莱島での戦いに突入するまでは、一度崑崙山2が落下して修復期間を1カ月ほど設けている(20巻)のですが、実はここ以降あまり具体的な時 間経過が書かれていないので、このあたりの時間経過も不明。
最後にわかるのは女媧との戦いが終わってから1カ月後、四不象と武吉が人間界にやってきて、太公望が生きていることを知るくらい。じゃあ物語 終了時点で牧野の戦いからどれくらい経っているのか?最低2カ月は経っているとして(崑崙山2修理期間+スープーたちが人間界に来たのが女媧 戦の1カ月後)…個人的には半年程度ではないだろうかと予想してます。こればっかりは根拠はないけど。
(あえて言うなら周王朝成立してしばらくして、武王が邑姜に手を出して妊娠させて、おなかが目立つほどまだ膨らんでないけど妊娠してるんだよ 的時期で3ヶ月~半年くらい…)


ここで1巻の伏線を思い出す

時系列数直線さて、ここで一度振り返ってみます。1巻、申公 豹戦後、漫画には「太公望が封神を終えるのはこれより10数年も先になる」との記述があります。上の数直線に出てきている数字をすべて足して も9年と3ヶ月+数ヶ月が2回…つまり10年程度にしかなりません。更に言うと、武成王造反時から牧野の戦いまでの期間なんてわずか2年1カ 月+数ヶ月が2回しかありません。数直線の空白部分がほとんど間をおかずに起きた出来事だった場合、武成王造反時紂王39歳、牧野の戦い時紂 王41歳とかいう、なんかとってもぎりぎりな年齢設定になってしまうんですよね。個人的にはこの期間、5~6年はほしい気がする。(30代後 半っていうならやっぱ35・6歳、40過ぎなら41・2歳くらいだと思うので…)

では、二次創作的な発想でもし上の時系列に足りない時間を足すとすればどこなのか。一番ゆったり時間が取れる期間は以下2つだと思います。
 

  • 姫昌さんが亡くなってから魔家四将が攻めてくる前にかなりの時間があった(西岐側が喪に服している期間、及び殷も周も戦の準備期間中 の為)
  • 仙界大戦が何十日(最大99日)とかいう単位でなく、実際は半年とかもっと長期間だった


特に魔家四将戦前の時期で数年かけてる可能性は大いにあると思います。この辺って第2回象レース開いたり、料理バトルが定番化したりできそうで、 一番互いに平和と言えば平和でいい時期ですよね。登場人物もそれなりにいるし。

ところで、ここまで頑張って時系列考えといてあれですが、時折出てくる「数ヶ月」の単位が連載期間の比喩でしかないのでその辺は 深く考えちゃだめ、という全てを台無しにしてくれる可能性も一応提示しておきます…(ここまで真面目にやっておいてこれかよ!)


オマケ 安能版封神や他翻訳本、史記などの歴史書からの補足

さて、漫画だけからだと上のような時系列だということがわかりますが、当然フジリューは安能版含めたいろいろな資料本を見ているはず!一部 は参考にできるのではないか、と考えた挙句に、+αを補うため、さらなる推測を加えます。マンガだけの情報で十分、という方は以降無視してく ださい。


原典の時系列について

原典の封神演義の時系列はかなり参考になる、と一瞬考えたりしてしまいますが、実はあまり参考になりません。というのも、フジリュー版と原典とでことが起こった順番(しか も結構重要場面)が時折逆になっていたりするからです。(たとえば東伯侯が処刑される前に姜貴妃が処刑されている、武成王造反前に姫昌さんが 亡くなっているなど)
それでも簡単にあちらの時系列をまとめてみますと…

年数 出来事 補足
紂王7年2月 北海の72諸侯の反乱により聞仲が出陣
紂王7年3月 紂王が女媧宮を詣でる
紂王7年4月 新年の挨拶のため、諸侯が朝歌に集まる 原典だと新年は4~5月ごろに迎えるものらしい…
となると正月や元旦は1/1ではないってこと?
紂王8年 蘇護の叛乱
妲己が後宮に入る

紂王20年仲冬 姫昌没
紂王21年元旦 武成王造反
紂王30年3月 姜子牙(太公望)が東征軍を率いる大将軍となり、進軍開始
紂王?年3月 孟津に二百諸侯が集まる 安能版だと紂王37年。

ここで一つ問題になるのが姜子牙下山時に元始天尊からもらった予言の詩の内容。
下山して8年は困窮するだろうが辛抱、石の上で釣りをしていれば登用され、12年後には軍を率いる大将軍となり、17年目で神を封じる役目を 終えるだろう、と予言されています。原典の封神演義はすべて「天命通り」にことが起きることが前提なので、この予言の詩通りに事は進んだは ず。
では計算。姜子牙が大将軍となったのは紂王30年。その12年前に下山したということは紂王18年に崑崙山を出て下山した。8年は辛抱して、 紂王26年に釣りをしているところを姫昌さんに…ってチョイ待ち!姫昌さん紂王20年に死んでる!

ということで、いよいよ役に立たなさそうな空気がむんむんです。
原典で他に参考になりそうなものがあるとすれば黄家四兄弟他の武成王造反時の年齢(ただし天化と天禄の兄弟順が入れ替わっています/天化16歳・天禄13歳・天爵12歳・天祥7歳・賈氏36歳)や姫昌さんの没年齢(97歳)ですが、まぁこれもあくまで参考程度、といったところで しょうね(天禄が13歳に見えない)。


史記・その他歴史書からの補足

次に頼れるのは史記などの歴史書。もちろん内容は封神演義ではなく、「歴史」なので仙道も何も出てきませんが、簡単に紹介すると、

年数 出来事 補足

西伯(姫昌)が7年間幽閉されたのち、王号を名乗るのを許されて10年で死去
武王1年 翌年、子の発が継いで武王と名乗る
武王9年 一度孟津まで出兵、まだ殷を討つ時期ではないと言って引き返す
武王11年 再進軍し、12月に孟津に到着
武王12年2月 牧野に到着 この2月は周歴2月で、殷暦だと1月ですが…
今の暦だと何月なんでしょうか…。

以上、史記周本紀より。
実は原典封神演義では西岐で散々いろんな追討軍を迎え撃った挙句、ようやっと東征してそのまま朝歌へ進軍してますが、史記などでは一度孟津ま で来ておきながら一度引き返しています。引き返した理由はもちろんいろいろあるんでしょうが、これ、漫画を振り返ってみるとあれ?と気付くこ とがありませんか?
そう、仙界大戦直前で周軍が引き返しています。趙公明戦は澠池城のそばで行われており、澠池城を超えた先には(漫画には記されていませんが) 孟津と牧野があります。つまり漫画では史記に乗っ取った形で一度引き返している…となると時系列もこっちを参照した方が多少参考になるので は?(という短絡的思考)

もしそうであるなら、さっき考えた漫画の時系列に合わせて列記して…

  • 紂王20年(武王元年)姫昌没、姫発が武王を名乗る ※姫昌没後姫発がすぐに武王を名乗ったと仮定する
  • 紂王28年(武王9年)仙界大戦勃発、周軍が一度引き返す
  • 紂王30年(武王11年)に澠池城での戦いを勝ち抜き、黄河を渡る
  • 紂王31年(武王12年)牧野の戦い

こうやってみると、物語が始まってから牧野の戦いに突入するまでに姫昌さん幽閉期間7年+幽閉後亡くなるまでの1年+武王元年~11年まで の10年間で18年で、1巻の10数年に符合。武成王造反時(紂王20年)から牧野の戦いまで11年経ってますが、36歳の紂王さまが47歳 とかなら40を超えておられるので問題ない…のかなぁ。


オマケを踏まえての結論

結論として、漫画は漫画で時系列を考えた方が横道にそれずに済んでいいんじゃないの?ということでいいんではないでしょうか。(私が調べる のに疲れたという話はさておく)二次創作する際は別に多少の矛盾点があっても二次創作なんだからいいじゃない、という軽さが大事だと思う の…。私みたいに深く考えすぎて分析オタクになっちゃうよりかは、すっと書いてすっと萌えてすっと次の萌え作業に移る方がよほど効率的です。 が、こんなのでも誰かの妄想のお役にたてれば幸い。間違いがあったらだれかツイッターか何かで訂正入れてくださいまし…(他力本願)。


参考文献

  • 新釈漢文大系38 史記(本紀上) 一/吉田賢抗・著/1973年
  • 封神演義/八木原一恵・訳/集英社/1999年
  • 封神演義 1~7/許仲琳・編/コーエー歴史ポケットシリーズ/1998年
  • 完訳 封神演義 上・中・下/許仲琳・編/光栄/1995年

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